【w.r.w.r.d.!】誤解されてるだけ。 (ページ10)

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十話ページ10

兵士said

白い病棟の奥へと脚を進めた

まだ敵には気が付かれていないのかどうなのか。でも警報も何もなっていないからバレてはいない？でも事は簡単に運びすぎていると思う

1番奥の病室に体を滑り込ませた

白く細長い腕に点滴が繋がって息をしているのかもわからない

対象者は目を瞑っている

息の根をとめないと

握り込んだナイフを振りかぶろうと顔を上に向けた時に見えた

「あ」

一枚の女の絵

笑う、絶望の淵に立っても優雅に映る笑み

「ッ⁉︎」

柔らかい色彩が俺を見ていた

整った顔立ちに凍えるような瞳

でも似ている

「あっ」

細い肩から滑り落ちるシーツと俺の腕を掴んだままの離さない対象者

「似てる？私とフィージャは」

弧を描く唇と引かれる腕に俺はもうなすすべもなくベットに落ちる

滝のように長い髪が俺の視界を遮って、対象者、彼女と2人きりの世界

もう、無理だ。俺には無理だ。この人は殺せない

『君は表情を余り変えていないね。素晴らしい、花丸あげようか。それは君の強みとなるよ』

歳なんて離れて10個。それなのに貴方は大人だった。細い体に長い髪を揺らして目を細めるフィージャ

祖国の裏切り者として、その前はスパイ養成所の特別講師として俺は貴方を知っていた

「コチラ側につかない？」

高い塀と何人も日に落ちる脱落者

偶に現れる特別講師、フィージャ

細長い指はオレの顎を掴むとグッと顔を近づけ

１つキスをした。

「はぁーいそこまでだよ〜もうAちゃん暴走しすぎ。君はまだ完治していないんだからね」

急に晴れる視界に彼女は大柄の、確かしんぺいという男の腕の中にいた

「もう大丈夫」

「大丈夫じゃないよ。ほら君もそこどいてくれないかな？Aちゃんのベットなんだけど」

「す、すみませんっ」

キャミソールワンピースを身につける彼女はベットに潜り込むとスッと寝落ちてしまった。

あぁ俺はどうすればおわった？もう俺の死確定？

「君はまだやり合う気はある？もういい？あるなら相手するけど」

布面のしんぺいさんはヒラヒラと手を振る。ないです‼︎

「無いです‼︎」

もうあの国の洗脳どころじゃ無い。祖国の為とかなんたらとか、フィージャに心を奪われている俺からしたら祖国なんて塵だ。それに似た人が現れた今じゃどっちを取るかなんて明白だろう

「ふーん、そっか。武器出してついてきてくれないかな。面接だよ」

俺はこの後魔王に合うとは夢にも思っていなかった