【w.r.w.r.d.!】誤解されてるだけ。 (ページ12)

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十二話ページ12

「おおおおお」

「…どうしたんらっだぁ。ついに頭まで変色したか？」

俺の執務室で膝をつくらっだぁ。こいつは今さっきまで他国の会食に行っていて、帰りがけにW国に立ち寄ってきたはずだ。いつもなら『今日はダメだってぇ』『今日は顔見れた〜』のどちらかなのに。

月に一回あるかないか。今回は三ヶ月、いや四ヶ月ちょっとぶりにアポが取れたからそれは凄い嬉しそうに出ていったのに。

「ちっが⁉︎きょ、きょーさんどうしよ。Aちゃんに男の影？付き人みたいなのがいるよ⁉︎チャラ目の、舌ピ開けてる⁉︎男‼︎‼︎」

「…お前、Aさん二十歳超えてる立派な女性だろうが。キメェ。やめろ」

いつまでたってもAさんを子供扱いするらっだぁ。それを嫌がっているのを何故わからない。こいつは

「俺とAちゃんソファに座って話してたんだけどさぁもうAちゃんの後ろにいんの‼︎会話をじゃましてはこないんだけどなんか、もう⁉︎って感じ」

「…別に護衛くらいいいだろ。いつも誰かしら近くにいるんだろ？」

「そうだけどぉ」

女なのに、女ではない。

笑っているのに、笑っていない

中身の無い人形に見えるのに中を裂いて見てみれば意外にもちゃんと人間の形をしている

「俺、俺わかってるの。もうAちゃんは泣いてた子どもじゃないって。今は前を向いて歩いてるとんでもなく立派な女性だって。でも、あの時手を離さなければAちゃんはこの国で俺たちと一緒に入れたのにな」

らっだぁは俺らの知らないフィージャの影を追っている。死んでもなお、らっだぁの心に深く影を落としているのだ

艶やかに笑う女。魔性の女。傾国の美女。無惨にも殺された哀れな女

絵画の中で笑うフィージャはたいそう美しい。そんなフィージャがらっだぁの隣で笑い声を上げる。長い髪が揺れるのをらっだぁは許可もなく友人として弄ることができた。

男なのに、女の理想を無理やり詰め込んだ身体でフィージャは笑う

もしフィージャもAさんも奇跡が重なってこの国で笑って生きれていたら、らっだぁもこんなに心を掻き乱されることはなかったのに

「うわ〜結婚式とか泣いちゃうよ〜」

いつまでも昔を追うらっだぁの背中を叩いて忘れろ、も前を向け、も言うことは出来ない。俺らはらっだぁに救われた。俺らはらっだぁを救いたい。でもどうしたらいいのかわからねぇ

なぁフィージャさんよ、お前の親友だと言うのならば今すぐにでもこの呪いを解いてくれ