【w.r.w.r.d.!】誤解されてるだけ。 (ページ2)

今日:7 hit、昨日:15 hit、合計:5,967 hit

一話ページ2

「エーミール何見てるの」

夏を迎えそうなこの頃、エーミールが渡り廊下に立って下を覗いているのが見えた。その下は裏庭だった筈

「Aさん。下を見てくださいっ鬼ごっこしてますよ」

お昼を過ぎたあたりに下を覗くとチーノくんが地面に倒れてゾムくんが鬱さんを追いかけ回していた。元気だな

「元気だね、エーミールも参加してきたら」

「えぇそれはちょっと」

暖かい季節がやってくる。私もこの国に来て一年経った。フードを被っていることもグルッペンの部下なことも変わらないが幹部たちとは少し仲良くなれた気がする

「エーミールさ、」

「なんです？」

「本当に私この国に来れて嬉しい」

ーー
エーミールsaid

夏の訪れを感じる中、Aさんは嬉しいことを言ってくれる。

あぁ本当にこの人は。

「わっ私もAさんと入れて嬉しいですよ」

フードの下でにこにこしているのがわかる。Aさんが嬉しいと自分も嬉しい。グルッペンさんがAさんを連れてきてくれて良かった。

ドレスで着飾ったら姿も兵士の服を着て紛れているのもなんでもAさんは似合う

下はぎゃあぎゃあと煩く騒いでいる。だから、つい、出来心だったんだ

ーー
チーノsaid

ゾムさんに倒されてから地面に倒れ込んだままのふりかをしてそろそろいいかななんて。そんなこと思ってたら上からぽそぽそと声が振ってくる

なんやねん、カレカノか

エーミールはAのこと好きやろうし、Aも満更やなさそう。でもなんだかんだそういう関係にもならんしなぁ。Aは付き合うって言葉知らんとか？そんなわけないか

そろそろ立とう。そうして顔を真上にあげたら

「ッ〜〜〜⁉︎」

エーミール⁉︎お前‼︎ちゃんと男やってんやな⁉︎

淡い色がフードの下に重なる。可愛らしい音を立ててエーミールは離れるとすみませんでした‼︎なんて叫んで逃げ出して言った。

残されたAはエーミールの影をぽかんと眺めて立ち尽くす。

あー拙いもん見た。どないしよぉ。取り敢えず見なかったことに

「…チーノくん」

「話しかけんといて‼︎」